スイス

スイス:フリブール

小島 瑞生(こじま みずき)

職業…公務員
居住都市…フリブール(スイス)

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チューリヒにあるスイス証券取引所も突然のニュースに振り回された機関の一つ。(画像はイメージ)

チューリヒにあるスイス証券取引所も突然のニュースに振り回された機関の一つ。(画像はイメージ)

 スイスのみならず、ヨーロッパ、世界を大パニックに陥れた、“1.15事件”と呼んでも過言ではない、スイスフランの暴騰が起きてしまいました。

 発端は、スイス連邦の中央銀行であるスイス国立銀行(SNB/独語: Die Schweizerische Nationalbank/仏語: La Banque nationale suisse)にあります。このスイス国立銀行は、2011年9月より、続くフラン高を抑えるため、1ユーロ≒1.20スイスフランで安定させるべく、無制限にユーロを買い続けていました。というのもスイスフラン高が続くと、観光業や輸出業等にマイナスの影響を与えてしまうからです。スイスの主産業として、製薬や食品、時計や機械部品,観光業、金融などがあるため、強すぎるスイスフランは不利になってしまいますものね……。

 ところが2015年1月15日の午前中(スイス時間)、スイス国立銀行が突然、この“ユーロ買い”を止める!と発表。 そのためスイスフランが急高騰、ユーロが下落、スイスの証券取引所や他欧州国のシステムも障害を起こす、という大パニック状態に。


スイスのATM。スイスフランだけではなくユーロ紙幣も引き出すことができます。

スイスのATM。スイスフランだけではなくユーロ紙幣も引き出すことができます。

 その一方で、このニュースに大喜び、急いでスイスフランをユーロに両替をしようと、チューリヒやジュネーブなどの都市では、銀行まで急ぐ人々があっという間に長蛇の列を作ったというニュースも耳にしました。ユーロ紙幣があっという間になくなってしまった地域もあったそうです。

 そもそもなぜ突然スイス国立銀行がユーロ・スイスフラン介入やーめた!となったのでしょうか――。
 
 来たる1月22日に欧州中央銀行(ECB)の政策金利ミーティングがあり、そこで量的緩和政策の実施が決まる可能性があること、そしてその数日後の1月25日にギリシャで議会選挙があることから、このままユーロ・スイスフランへの介入を続けると、今後もさらに多くのユーロを買い続ける羽目となり、負担がさらに増えてしまう――こういった懸念から、今回の大決断となったのではないかと言われています。

 現在のところ市民の間では、ユーロ圏であるお隣の国々ドイツやフランス、イタリアでお買い物ツアーだ、安く旅行へ行くぞ!と浮かれている雰囲気がないでもないですが、もしこれが長く続けば、スイスに来る観光客やスイスで買い物する人々が激減し、最悪な場合、スイスの輸出に関わる企業がスイスから撤退、スイスよりもコストが安くつく他ユーロ圏の国々にオフィスや工場を移す、なんてこともあるかもしれない、と思うと心配になります。

 今後スイスとスイスフランの将来はどうなるのか、しばらくは静観の日々となりそうです。 





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