スイス

スイス:フリブール

小島 瑞生(こじま みずき)

職業…公務員
居住都市…フリブール(スイス)

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ウシが大きいので、重くて丈夫なカウベルでも平気そう……に見えないこともないのですが、ウシ自身はどう思っているやら(笑)

ウシが大きいので、重くて丈夫なカウベルでも平気そう……に見えないこともないのですが、ウシ自身はどう思っているやら(笑)

 「スイス」のイメージ、と聞いて思いつくものはたくさんありますよね!アルプス、時計、牧歌的自然、ヨーデル、白十字の旗、ウシやヒツジ、ハイジなどなど……
 ウシが首につけてガンラガンラと鳴らしているカウベルもその一つ。スイスに越してきて、本当に隣の牧場からウシたちのカウベルを聞いたときは、何の音か一瞬分からず驚いたのを覚えています(笑)。


これはやや“ライトバージョン”なカウベル。

これはやや“ライトバージョン”なカウベル。

 カウベルは、広大な牧草地に放たれているウシたちの居場所が簡単に分かるようについているわけですが、将来このカウベル、スイスで放牧されているウシたちの首から外される日が来るかも?しれません。
 理由は“騒音”そして“ウシたちの健康”のため、ということなのだそうですが……。


 チューリッヒのスイス連邦工科大学(ETH)でのリサーチによれば、カウベルの音はだいたい100-113デシベルだということで、騒音の域になりうるとのこと。100-113デシベルはだいたいチェーンソーを使用する音や、工事現場で使うドリルの音レベルぐらいの騒音なのだといいます。
 特にウシの聴覚は人間のそれよりも敏感なため、ウシたちにとってはさらに耳障りに聞こえるのだとか。


カウベルの種類もいろいろ。酪農業従事者の家屋軒下にはこんなにたくさんのカウベルが!

カウベルの種類もいろいろ。酪農業従事者の家屋軒下にはこんなにたくさんのカウベルが!

 さらにカウベルは見るからに重そう……実際重いのだそうですが、ウシの健康上よろしくない、というのも理由なのだそうです。そこで研究者たちの唱える、カウベルに代わる代替案はといいますと――GPS(ジーピーエス)!“GPS”ってまさかあの、携帯などにも現在ついている、地球上の現在位置を測定できるシステム……のことでしょうか(苦笑)。

 当然(?)この案に対して、酪農従事者は「冗談でしょ?山の奥深いところや、人家などがあまりない地域ではGPSが入らない場所も多いのに、ウシに役に立たないGPSつけてどうなるっていうんだー!」と反対。「カウベルは大切。スイスの文化・伝統的なものの一つだし、山々の牧草地の美観にも貢献しているしね」


 もちろんスイスの観光業にも影響が出てきてしまいそうです。大きなカウベルをガラガラと鳴らしながら、草を食むウシたちの姿を見て「あー、スイスだなあ~!」とスイスらしさをエンジョイする観光客の人々が、GPSがついたウシを見たらショックを受ける……かも(笑)。

 現在はさらなる研究結果を待つこととなりそうで、しばらくはカウベルの存続の危機について心配しなくてもよさそうです。


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