日本行きはちょっと待った!? 相撲選手の入れ墨
2017.07.24 up
7月16日にサンパウロ市内で開かれた全伯相撲大会で入れ墨を入れた選手
「あの選手は強いから連れて行きたいんだけどねぇ、あの入れ墨では日本への選手団に加えるのは難しいよ」
7月16日にサンパウロ市内で開かれた全伯相撲大会での役員の1人の言葉です。
ブラジルではここ10年以上、若者の間で入れ墨(タトゥー)が大流行。堅気でもなく、ファッションとして若い男女を魅了し、多くのタトゥー専門店も出現してきました。
そこにちょっと一言、ブラジル相撲界の重鎮が本音をポロリ。「相撲選手が入れ墨しているなんて、日本ではとんでもないよ」
7月16日にサンパウロ市内で開かれた全伯相撲大会で入れ墨を入れた選手
一部選手が入れ墨をしているとはいえ、相撲に取り組んでいるブラジルの若者はごく普通の好青年です。むしろ、相撲を通して日本により親近感を持っていると言えます。
確かに、日本の大相撲の関取はもちろん、普通の市民でも目立った入れ墨をしているというのはまだ眉をひそめられることはあるかもしれません。
一方、ブラジルでは昨年8月、最高裁判所が公的機関の採用試験で入れ墨をした人の採用拒否を禁止するという判決を下しました(ニッケイ新聞・2016年8月26日付より)。
この判決は、サンパウロ州の消防士採用試験での検診時、右足に14センチの部族的な入れ墨が発見され、不採用となった男性が訴えたものでした。それまでの採用規定では、基本的に入れ墨を入れている候補者は不適格と記載されていましたが、入れ墨を理由に不採用とすることは禁止されました。
脚に入れ墨を入れたブラジル人相撲選手
ブラジルの相撲選手の華麗なる入れ墨。ブラジルの公的機関の採用基準と相撲界の採用基準は比較できませんが、南米はもともと先住民がボディーペインティングをしていた伝統もあり、暑い季節は肌を見せる男女も多く、素肌よりは服代わりにペイントしていた方が落ち着くという感覚すら、もしかすると自然体かもしれません。
しかし、日本の伝統的なコミュニティーである大相撲では、前述の役員の一言の方が現実的とも言えます。
すっかり入れ墨が珍しいものでもなくなったブラジルでの時代に合った裁判結果と日本の伝統。一種の慣習とはいえ、世界はまだまだ越え難い文化の壁があるかもしれません。
7月16日にサンパウロ市内で開かれた全伯相撲大会で上腕に入れ墨を入れた選手
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