ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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吹き抜けの広場に華やかなクリスマスツリー。しかし、景気は…(サンパウロ市のショッピングセンターで)

吹き抜けの広場に華やかなクリスマスツリー。しかし、景気は…(サンパウロ市のショッピングセンターで)

 今、ブラジル経済は低迷のままだ。例年、クリスマスプレゼント用品購入で売り上げが伸びる12月前半のブラジルだが、国全体に活気がない。3年前から続く不景気からの脱却はいつになるのか。2016年が間もなく終わる。


クリスマスツリーに囲まれて記念写真を撮る高齢者グループ

クリスマスツリーに囲まれて記念写真を撮る高齢者グループ

 毎朝夕、サンパウロ市内の幹線道路を車で走ると、渋滞をあまり見かけない。5年前の経済絶頂期には大混雑だった。働く人は経費節減のため、地下鉄やバスを利用していると聞く。現在、ブラジルの失業者数は約200万人(地理統計院発表)。ブラジルの会社は「不況になれば解雇し、景気が回復すれば再雇用」の考えだ。


 11日、同市最大級のショッピングセンター『イグアテミー』へ行った。1階吹き抜けの広場には高さ約3メートルのクリスマスツリーが10本。記念写真を撮る子供連れや高齢者が目立つ。しかし、見物人は20人前後。幼い娘の手を引いていたルイスさん(46)とクラウジアさん(40)夫婦がいた。2人は医師で、「私学の教育費が高くて大変。経済が上向くのはいつになるのかしら」と心配顔。また、マリア・ジョゼさん(78)は「物価が高いわよ」とこぼす。


 その夜、サンパウロ国際空港へ友人を見送りに行った。3000台収容可能の駐車場に空きが多数。好景気時には置く場所を探すのに一苦労した。長引く不況の上にドル高・レアル安で、国民は旅行を控えているようだ。
 一方、明るい話題は農産物輸出が好調なこと。コーヒー、大豆、牛肉が顕著で今年の貿易収支は11月末で黒字400億ドルを突破した。


 ジカ熱流行、経済どん底、治安最悪、関連工事遅延で世界のマスコミに厳しく批判されたリオ五輪・パラリンピック。テロなど大した事件も起こらず、結果的には大成功だったといってよい。何とかやり遂げて市民の底力を見せたブラジル。来年の景気回復を期待したい。


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タグ:サンパウロ

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