ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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クスクゼイロからクスクスののった器具を抜き出したところ

クスクゼイロからクスクスののった器具を抜き出したところ

 「クスクゼイロ」と呼ばれる縄文式土器のような形をした調理器具がブラジルにはあります。「クスクス」と呼ばれるトウモロコシやマンジオカ(キャッサバ)の粉を水分で練ったものを「蒸す」調理器です。

 ブラジルでクスクスを食べる習慣がある主な地方は、サンパウロ市から飛行機で赤道に向かって3時間ほど行ったブラジル東北部(通称ノルデステ地方)です。

 ノルデステ地方は、ブラジルの植民地時代(1500-1821)から先住民とヨーロッパやアフリカの文化が融合し、独自の食文化が発達してきた地方です。ブラジル500年の歴史の中でも最も古い歴史を持つ地方の一つです。

 ノルデステ地方由来の食文化は「クスクス」以外にも、「カルネ・デ・ソル」と言われる干し肉の一種やマンジオカ(キャッサバ)を原料とした「タピオカ」などがよく知られています。


クスクゼイロとクスクスの材料であるトウモロコシ粉の袋

クスクゼイロとクスクスの材料であるトウモロコシ粉の袋

 過去数十年の間、生活環境の厳しいノルデステ地方からは、サンパウロ市にも多くの人々が移住してきました。移住者が増えるに従い、ノルデステ地方の食文化もサンパウロ市にもたらされ、今日のサンパウロ市では、身近にノルデステ地方の食料品店やレストランを見かけることができます。

 そして、「クスクゼイロ」がある家は、たいていサンパウロ市ならノルデステ地方出身者の家庭です。

 母親がノルデステ地方の一つ、パライーバ州出身で、ご自身も3歳までパライーバで育ったというラケル・ロッファーさん(38歳)に家庭で食べるクスクスを紹介してもらいました。

 ノルデステ地方では州都や大きな町を離れればパン屋は少なく、パンが主食にできるほど身近になかったことから、ほぼ主食としてトウモロコシ粉で作ったクスクスが食べられてきたということです。 


とうもろこし粉を水で練って、クスクスに程よい硬さになった状態

とうもろこし粉を水で練って、クスクスに程よい硬さになった状態

 最もシンプルな作り方のクスクスは以下の通りです。

1、サンパウロ市ならどこの食料品店でも売っているとうもろこし粉(コップ一杯)に塩を一つまみ加え、少しずつ水を加えて手で練っていく。

2、手で握った時にまとまるくらいの硬さ(まとまってもボロボロと崩れやすいのが普通)になったらクスクゼイロに移し、火にかける。水が沸騰したら弱火にして約五分蒸す。完成。

3、クスクゼイロからクスクスを置いた器具を抜き出し、切り分けて食べる。(一枚目の写真参照)

 クスクスの食べ方は、好みで熱いうちにバターをのせたり、牛乳をかけたり、炒り卵を添えたり、フェイジョン(煮豆)の汁をかけたりして食べられます。練る時に水の代わりにチキンスープを使うとより旨みが増します。

 クスクスはボロボロと崩れやすい食べ物なので、崩れた状態でバターや牛乳を軽く混ぜ合わせながら食べられることが多いです。

 シンプルなクスクスから発展し、イワシやゆで卵、トマトやグリーンピースなどを加えたクスクスなどもあります。


蒸せたクスクスを取り分けるところ

蒸せたクスクスを取り分けるところ

 ブラジルで「クスクス」を作るなら、「クスクゼイロ」が必需品です。一人用のサイズから大人数用のサイズまで、どこの雑貨店でも販売されています。

 我が家の隣家の一人暮らしのノルデステ出身の女性も、やはりお一人様クスクゼイロを持っています。ノルデステ出身の人にとっては懐かしい故郷の味「クスクス」です。


蒸し上がったクスクスを牛乳と混ぜて味を付けているところ

蒸し上がったクスクスを牛乳と混ぜて味を付けているところ


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2 - Comments

いとうより:

2013 年 11 月 09 日 15:33:56

いとうです。
日本のレストランでも、「クスクス入り○○○○」という料理、たまに
見かけます。ほんのりと甘いのが、アクセントになっていいですよね。
もともとは、地域的な特性から食べられていたのですね。作り方はもちろん
初めて知りましたが、特性のセイロがあるとは驚きです。ある意味、たこ焼き
機みたいなものでしょうか?例えが悪すぎますね(笑)

oouraより:

2013 年 11 月 09 日 18:20:02

〉いとうさま
 いえいえ全くその通り、たこ焼き機感覚です。ブラジル東北部の人の家ならたいていあるというセイロです。ちなみに関西人の私はブラジルまで電気たこ焼き機を持ってきています。タコが高いのでチーズを入れていますが。

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