メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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 トナラの伝統行事「タストアン」に使うお面を、市役所主催の講習会で作っています。
 どのような手順で何が必要で、などが記された資料などなく、すべてが昔ながらの口承で進んでいきます。これはこれでまた味があります。

 硬く分厚い豚革に、目と口の穴を開け、鉄仮面のようにしたあと、どの動物どのデザインにするかで形を変え、革を付け足し、縫い付けていきます。


マンゴーの種が、お面の鼻にもなります。

マンゴーの種が、お面の鼻にもなります。

 縫い付けた部分を糊に浸した新聞紙でカバーし、その後、コーンスターチと糊を混ぜた生地を周りに盛り付け、肉付けをしていきます。その作業は、なにか手びねりの陶芸にも粘土細工にも似た感触で、子供達は喜び、大人たちは「いい瞑想、ストレス解消ね」と、黙々と作業を進めていきます。

 面白いと思ったのは次の工程。
 おどろおどろしい動物をモチーフにするので、使う材料もリアルです。
 大きく開いた口に使うのは、本物の牛の歯。お肉は食べて、骨はスープに、残った歯すら伝統行事に使う、余すことなく活かすメキシコらしいやり方。
 高く盛り上がった鼻には、マンゴーの種。そういえば先生が先週「鼻に使うから、マンゴーを食べたら種は洗って乾かしてもってきて」と言っていました。このように使うんですね。


私のお面、肉付けされてネコ科っぽくなってきました。

私のお面、肉付けされてネコ科っぽくなってきました。

 牛の歯を埋め込み、形を整え、一週間ほど乾かします。

 講習会の間、子供達は熱心に先輩方から手ほどきを受け、自分のデザインを伝えて作りこんでいきます。その光景をみていると、この町の民芸品が世代を超えて受け継がれているというのがよくわかります。子供達のなんと素直なことか、そしてその上できちんと自己主張もしている。すばらしい姿です。


色付け、盛り込み前のお面がずらり

色付け、盛り込み前のお面がずらり

 次の工程は、デコレーション。
 ここが、みんなが力を入れるところ。みんなのセンスが光る部分。
 日本人の私からはまったく想像のつかない、さすが色彩の国メキシコ、と思わせる部分です。
 
 まず、顔の表面に盛り付ける「付属品」を、革やコーンスターチの生地で付け足します。蛇やトカゲ、クモ、さそりなど、日常どちらかというと忌み嫌われる類の虫たちを、立体的に付け足します。


小さな巨匠!早くも完成に近いか!?

小さな巨匠!早くも完成に近いか!?

 そして、アクリル絵具を使って色付けしていきます。
 原色であざやかに、おどろおどろしく、細やかに色付けされていく様子は、ここが太陽の国メキシコで、生活の中に様々なアートが息づいていることを思い知らされます。


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