カナダ

カナダ:バンクーバー

西川 桂子(にしかわ けいこ)

職業…翻訳者、ライター、記者
居住都市…バンクーバー(カナダ)

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地元のコミュニティ紙にも掲載された

地元のコミュニティ紙にも掲載された

一部メディアでも報じられているとおり、バンクーバー市の隣にあるバーナビー市での慰安婦像の建立については、当面保留になりました。

問題は、釧路市と姉妹都市でもあるバーナビー市に対して、韓国の姉妹都市、華城市が、慰安婦像建立を提案したというものです。当然のことですが、日系社会で大きな話題となり、反対運動が起こっていました。

私の慰安婦問題についての意見は差し置いて、慰安婦像建立案があると聞いての私の気持ちは、「なぜカナダに?」に尽きるものでした。

私自身は日本生まれ、日本育ちで1994年からカナダで暮らし始めていて、友人も同じような日本で生まれ育った日本人が中心です。友人たちの間で、慰安婦像建立に反対しようとオンラインの署名サイトに参加を求める日本語メールが回ってきました。

一方、バンクーバー周辺の日系社会の中心人物の一人とお話する機会があり、当然のことながら二世や三世といった、英語が母国語となっている日系人の間ではこの問題は知られていないと聞きました。

私と同様、多くの二世、三世、四世なども、「なぜカナダに?」と思ったようで、これらの人たちの間でも反対運動の立ち上げが始まっていたところ、市議会がその前に「日系と韓国系が、ひとつのまとまった解決策を得るまでは、建立は保留」と決定してしまいました。

今回の決定の大きな理由は「対立を生むことを、あえて行わない」「市としては多文化社会のコミュニティ間の架け橋となるようなプロジェクトなら支持する(けれど、分断するものは、支持しない)」でした。

建立には至らなかったものの、十分に対立を呼んだこの一件。一部、日系と韓国系グループでは、対話を行おうという動きもあるそうです。日本が勝った、負けたではなく、折角、こうしてカナダでともに暮らす私たちです。本件をきっかけとする対話により、歩み寄れるといいですね。


市議会の議事録。発言者として、建立反対の署名を集めた、バーナビー市在住の河野さんの名前が。

市議会の議事録。発言者として、建立反対の署名を集めた、バーナビー市在住の河野さんの名前が。


バーナビー市のウェブサイトを見ると、河野さんの主張を読むことができる

バーナビー市のウェブサイトを見ると、河野さんの主張を読むことができる




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