オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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日本にも奇祭と呼ばれるものはたくさんあると思います。しかし、ポルトガルも負けてはいません。宗教にまつわるお祭りが多い国で、国民の約90%がカトリック教徒というお国柄も手伝って、こういった奇祭を含む「祭り」のほとんどがキリスト教にちなむものです。観光客をも魅了する奇祭、というものには一体、どんなものがあるのでしょうか?


英雄としての修道士を演じる市民たち。

英雄としての修道士を演じる市民たち。

ポルトガル北西部に、ブラガと呼ばれる市があります。風光明媚でのどこかな場所ですが、ここで毎年行なわれる復活祭(主に3月から4月)に行なわれる「農民祭り」は、その奇抜さで観光客からも人気がある奇祭だそうです。この祭りの主人公ともいうべきなのが、マスクを被った男性たち。頭から、黒い頭巾をすっぽりかぶったその様子は、まさにホラーそのもの!これは実は教会の修道士に扮しているのだそうですが、この姿で裸足のまま行列を作って市内を歩く姿には、ちょっと怖い感じも・・・。練り歩く行列です。ぱっと見は、ちょっとホラーな感じも・・・?


しかし、実はこの男性たち扮する修道士たちは、「英雄」として尊敬されるべき存在なのだそうです。この祭りの歴史は非常に古く、さかのぼること6世紀だといいます。当時、この地域を統治していたのは、性悪な領主でした。彼は、市民に対し法外な重税を課していました。生活苦から、市民たちは他の土地へ移住したり、一家離散の憂き目に遭ったりと、さんざんな目にあっていたそうです。


夜通し行なわれるお祭りには、観光客も多く訪れる。(画像提供:ブラガ市)

夜通し行なわれるお祭りには、観光客も多く訪れる。(画像提供:ブラガ市)

そんな市民たちの生活ぶりを見るに見かね、立ち上がった人たちがいました。それは、市内にあった教会に勤める修道士たちでした。彼らは、頭巾を被り身分を隠し、市民と一緒に領主や領主の兵士たちと戦い、遂に領主の悪政から市民たちを救ったといわれています。


勇敢に戦い、市民を救った修道士たちをたたえるために始まった奇祭が、現在のブラガ祭りです。ちょっと怖い感じの頭巾は、ポルトガル語でコカと呼ばれるそうで、ズバリ、お化けの一種を意味するそうです。またこのお祭りではかつて頭巾ではなく、カボチャをくりぬいてマスクにしてかぶっていたこともあるとか。現在のハロウィーンとの関連性はないですが、それをほうふつとさせる、奇祭の逸話ともいえそうですね!


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