カナダ

カナダ:バンクーバー

西川 桂子(にしかわ けいこ)

職業…翻訳者、ライター、記者
居住都市…バンクーバー(カナダ)

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2013年から設置されている改札。使われないときは邪魔でしかありません

2013年から設置されている改札。使われないときは邪魔でしかありません

10月5日からメトロバンクーバー(バンクーバーを中心にした近郊都市を含めた行政区)の公共交通機関、Translinkでバス代の実質的な値下げが行われました。

カナダでは郵便料金はほぼ毎年のように値上げされていますし、生活していて物価がどんどん上がるのを感じているのに、値下げなんて驚愕(きょうがく)の事態。それにはわけがあります。


鉄道系のスカイトレイン

鉄道系のスカイトレイン

トランスリンクは、バスや入り江をはさんでバンクーバー市とノースバンクーバー市を結ぶシーバス、そして鉄道系の乗り物になるスカイトレインを運営しています。料金は日本のようにどの駅からどの駅までというシステムではなく、ゾーン制で1ゾーンとされる区間内なら90分間乗り降り自由で$2.75、次のゾーンに行く場合は2ゾーンの$4、さらに遠くに行く場合は$5.50でした。最高で3ゾーンです。

特にスカイトレイン、シーバスは改札機などなく、駅員もいない、いわゆるHonour System。すなわち利用者が正直であることを信じて、いちいちチェックしないというもの。当然、「ずる」をする人はいて、そういう人対策に係員がたまに車内を巡回して切符の提示を求めています。ただし、バスは運転手がいるので、無賃乗車はまず無理です。

カナダに初めて来たとき、改札機なしの状況に「のんびりしてるな~」と感心していましたが、無賃乗車が後を絶たないとかで、改札機を導入することになりました。最初の改札機が設置されたのは2012年8月のことです。当初の予定では2013年春から開始のはずでした、それが11月に遅れ、2015年の秋まで利用されることはありませんでした。

というのも改札機と同時にICカードのコンパスカードを導入する予定がテストにより、バスでうまく機能しないことが分かったからです。

さて、2014年ぐらいまでは、いつになったら改札を使うようになるのかと思っていましたが、1年を過ぎても何も始まらないと呆れ始めました。そして既に2015年。この遅れによる損失は2300カナダドル(日本円換算で21億1963万円)を超えるといいます。

ついにTranslinkはうまく機能しないバスはとりあえず切り捨てて、開始することを決定しました。そのため、バス代はこれまでのゾーンが廃止され、一律の1ゾーン、2.75ドルで利用できます。

しかし、改札の設置は2012年8月から始まっていたので足掛け3年がかり、その上、バスについてはとりあえずは諦めるというのは、私たち日本人在住者には驚きです。

Translink側ではバス代を値下げする分の損失は、値下げで利用者が増えることにより補てんできると言っていました。なんだか負け犬の遠吠えのように感じるのは私だけでしょうか。

最後になりますが、このコンパスカードのシステムはアメリカの会社を利用していて、アメリカのいくつかの都市でうまく機能しているそうです。


コンパスカード対応の機械

コンパスカード対応の機械




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