メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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 ナショナルチームの試合中には、全国的に交通量が激減し、家々やレストラン(正直に言うと、バー)などから試合状況に合わせて歓声や怒号が聞こえて来ます。サッカー大好きの国民性から、勝手に「サッカー、強いんだろう」と思っていましたが、これまで15回の本戦出場も、過去にはベスト8以上に進めたことがないのがメキシコです。

 今大会の地域予選はやっとこさ生き残り、グループリーグもからがら逃げ切った感もあったのですが、決勝トーナメントは突然の強豪オランダとの対戦です。

 メキシコ戦やその他の試合を観ていて、気付いたことがあります。
 相手チームがスローイングやキーパーのゴールキックの時に、聞こえてくる「え~~~~、う~~~お~~~~!!!」というように聞こえる掛け声。
 あれ、メキシコが発祥地(?)なんです。


何万もの観客が心を一つにして。。。

何万もの観客が心を一つにして。。。

 2003年の中頃から、メキシコ国内リーグの自分の応援するチームの試合で、相手チームのスローイングの時などにこの掛け声をかけ、相手の気をそらそう、じゃましちゃおう、というのが発端だとか。
 その声の大きさで、自分のチームにも「こんなにたくさんが応援してるぞ!」と知らしめたり。

 スローイングなどのタイミングで、観客は両手を斜め前に挙げて、手のひらをヒラヒラさせながら「エ~~~~~~~~~」と叫び、投げたりキックすると同時に、手を前方に大きく投げ出します。そのタイミングで「プートー!!」と叫ぶのです。

 もうメキシコ人、これをしないとサッカー観戦ができないぐらい、この掛け声はお決まり。今大会ではそれが各国ファンに広がり、メキシコの試合ではなくても観客席から聞こえてくるようになりました。会場にメキシコ人がいるのか、それともメキシコ人のそれを取り入れ始めたのか。

 ただし、これには大会当局FIFAから、待ったがかかりました。
 この掛け声に使われている「プートPuto」という言葉、実はここに書くのもためらわれるほどのひどい言葉で、意味は「売春夫」。
の掛け声が、相手チームやその他の不特定多数の人々に対して性差別的な表現であるとして、「使わないように」お達しが出るほど。

 ですが、これにメキシコ人は猛反対。
 俗語罵詈雑言を日常的に愛を込めて投げ合うメキシコでは、これは相手チームにとっても「見せてみろよ、やってみろよ」との愛あふれるエール交換なんだ、と。その他、「すごいね!!」という感嘆の意味でも、使われたり。まあ、言い訳じみてとも感じますが。


言いたくて言いたくて仕方がないんです!

言いたくて言いたくて仕方がないんです!

 結局、すったもんだありましたが、テレビのメキシコ戦解説者もアナウンサーも「心からサッカーが好きで応援してるんだ、どんな言葉でも叫びたいように叫ぼう!」と、この「プート禁止令」は発令されずに終わりました。FIFAも、言い逃れの上手なメキシコを相手にするのをやめたんでしょうか。

 ネットでは、それを聞きつけた日本人女性たちが「おもしろそう」と真似しているビデオも流れていますが、くれぐれもこの言葉はサッカー場のみ、スローイング時のみにお使いください。
 でないと、使う方の「お里が知れる」ほど、お下品な意味ですので。




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