台湾

台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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当日12時台のMRT臺大醫院(タイダーイーユエン)駅

当日12時台のMRT臺大醫院(タイダーイーユエン)駅

 日本でも大きく報道されていますが、3月18日に学生たちが馬英九(マー・インジョウ)総統と内閣に対し、中国との経済協定の撤回などを求め、国会議事堂にあたる立法院(リーファーユエン)を占拠する事件が起きました。


3月23日に一部学生に占拠され、盗難などの被害にあった行政院

3月23日に一部学生に占拠され、盗難などの被害にあった行政院

 3月18日の占拠から、学生側の代表と馬総統側でさまざまなやり取りをしていますが、こう着状態が続いています。そんな中、23日から24日の早朝にかけ、一部の抗議活動参加者が内閣府に当たる行政院(シンジェンユエン)に乗り込み、建物に侵入し、器物損壊や盗難を行い、逮捕者が出る事態になりました。
 その後、警察が朝の出勤ラッシュに備え、事態を終息させるために機動隊と放水車を使用し、行政院周辺に集まる抗議活動参加者の排除に乗り出しましたが、けが人が多数出たことから、「権力の横暴」ということで、さらにこう着状態が進み、30日の抗議集会に至りました。


抗議集会のメーンステージ

抗議集会のメーンステージ

 30日の抗議集会は、学生運動のリーダーたちが「(馬英九総統側の)これまでの対応に誠意が感じられない」ということで、27日に呼び掛け、実現したものです。

 抗議活動のテーマは、密室での協議を意味する「黒箱」。
 経済協定作成や審議が、密室の中で行われたことに対し、それに絡め、黒い服を身に着けて抗議しようということです。

 警察側の発表で約11万人、主催者側で約50万人が抗議集会に集まったそうです。私自身、会場になった総統府前の凱達格蘭大道とその周辺に向かいましたが、すぐに身動きが取れなくなり、立ち往生しました。


機動隊とバリケードで封鎖された総統府周辺の道路

機動隊とバリケードで封鎖された総統府周辺の道路

 抗議集会に伴う交通規制の範囲は、総統府周辺と学生たちが占拠している立法院にとどまらず、台北駅周辺、観光スポットの中正紀念堂にまで広がり、MRT小南門駅周辺の道路に至っては警察とバリケードで囲まれ、不気味なまでに閑散としていました。


警察官の家族らで構成された反学生運動の団体(右側)と睨み合う抗議集会参加者(左)

警察官の家族らで構成された反学生運動の団体(右側)と睨み合う抗議集会参加者(左)

 抗議集会の傍らで心配になったのは、上の写真の反学生運動の抗議活動。前日の29日から学生運動側の黒に対して白の服で活動を行い、立法院占拠の18日から30日まで無休かつ緊張状態の中で仕事を続けている警察官の労をねぎらう目的で行っていますが、近くにいた抗議集会参加者と一時睨み合いになり、緊張が走りました。

 私は、抗議集会開始の13:00ごろから日没まで、その様子を見ていました。
 参加者は、殺気立っているというより、「ちょっとおもしろいことがありそうだな」という感じで、散歩感覚で訪れている人が目立っていました。また、立法院周辺にいる学生たちは、自主的にゴミ拾いをし、交通整理を行うなど、周辺の住民に配慮する光景が見られました。
 台湾大学病院のロビーでは、立ち上がれないのではないかと思えるくらい、いすに深く腰掛け、体を休める姿で待機している警察官を見かけました。

 立法院とその周辺を占拠する学生、さまざまな騒音に悩まされる立法院周辺に住む住民、家族の心配をよそに、激務に耐え続け、職責を全うしている警察官の姿を見ると、早期終息を願わずにいられませんが、どうなるでしょうか。


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  • 1 コメント

1 - Comments

かなやより:

2014 年 04 月 02 日 11:11:07

緊迫感が伝わってきます。早期収束を願うばかりです。

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