毎年この季節になると、いつもの散歩道がキレイな桜色に染まります。
チョンプーパンティップ、別名「タイ桜」。日本の桜とよく似たピンク色の花が、高い枝から舞い落ちては、ピンク色の絨毯を広げるのです。

チョンプーパンティップは、バンコクのあちらこちらで見られる花のなる木ですが、とても背の高い樹木なので、花が枝に咲いているときは意外と見過ごしがちです。我が家の近くの木も、他の背の高い樹木と重なるように咲いているため、満開のときに見上げることもほとんどなく、花の美しさをじっくり眺めることもありません。

おかしな話ですが、チョンプーパンティップは地面に落ちて初めて、その美しさをじっくり見ることができるのです。
枝から落ちた花は、もう寿命も短く、あっという間に茶色く枯れてしまいます。だからこそ地面を染めるピンク色に、思わず足を止めてしまうのです。

タイの桜と言っても、日本の桜と比べると花はずっと大ぶりで、その形も桜とは随分、違います。
日本の桜は見上げて花を愛でるのにちょうど良い高さですが、チョンプーパンティップは桜よりもずっと背が高いので、お花見にはあまり向きません。また、桜は花びらが舞い落ちますが、チョンプーパンティップは花ごと落ちてきます。

それでも「タイの桜」と名づけた昔の在タイ日本人は、チョンプーパンティップに故郷の春を思ったのでしょう。
地面を見下ろすお花見も悪くありませんが、時には桜の季節に日本に帰りたいものです。

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