オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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津波の脅威に学ぶ

2014.10.18 up

3年前の3月、東日本大震災が起き、オランダの国営放送ニュースで速報があたときのことは今でも忘れることが出来ません。しかし、世界を震撼させたあのニュースを見ながら、『これって、映画の撮影かなんか?』、『うん。日本はさすが、スケールが違うよね!オランダじゃ、ここまではやれないよ』等々の意見を真面目に述べているオランダ人たちの姿に唖然としたことが思い起こされます。


津波の威力に圧倒されたとはいえ、あの災害を映画の撮影と見なすとは、一体どういうことなのか。当初は、彼らの不謹慎さに怒った私でしたが、それもそのはず、オランダには天災が日本に比べて少ないため、身をもって体験することがなく、まったく理解できないのだということがわかってきました。


地震記念日のポルター。椅子が転がっただけでその”威力”に驚いた人も多い。

地震記念日のポルター。椅子が転がっただけでその”威力”に驚いた人も多い。

まずは、地震。最近でも5年に1度くらいの割合で、『身体にちょっと感じる程度の短い揺れ』を経験することもあるオランダですが、地震がどういうものかを体験したことのある人がまるでいないため、地面がちょっと揺れただけでは、『大型トラックが通り過ぎたんだろう』程度にしか思っていません。しかし、”地震の国”日本からやって来た私にとっては、トラックの揺れと地震との区別はすぐにつきます。2年ほど前、南部オランダを中心に小さな揺れがあったとき、地震だ!と叫んだ私を、彼らは笑い飛ばしましたが、実際にそれは地震でした。


オランダでは非常に稀な、地震による地割れ。

オランダでは非常に稀な、地震による地割れ。

津波に関しても同様です。津波というと、『何かが押し寄せる』場合とに使う言葉としてとらえられており、たとえば安売りセールに押し寄せる人たちのことを、『消費者が津波状態』などと表現します。そんなオランダなので、防災訓練をなぜするのか、理解できなかった、という人たちが多かったのは事実。しかし、津波の脅威が再三テレビで放映されたことで、なぜ、日本人は防災訓練を行なうのかを理解する人たちは増大しました。


大風が吹いて屋根が飛んだり道路標識が倒れたりしても、『古いもの新しくする時期が来た、と考えればいい』などと気楽に考える人が多いオランダ人。しかし、天災はおろか、防災になどまるで関心がなかったオランダ人たちに対し、自然の脅威を教訓として教えたのが、日本の東日本大震災や台風、そして火山の噴火だったともいえそうです。


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